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筋肉の知られざる働きマイオカイン

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(絵:吉田たつちか)

 私達の健康を保つ3原則は、
1、適切な栄養を摂る 
2、体を動かし活動する 
3、睡眠による休息 のサイクルです。
体調不良で病院にかかった時、栄養と睡眠と共に、運動の必要を促されますが、一番疎かになっているのがこの運動の部分ではないでしょうか?
いくら素晴らしい薬をお金をかけて服用しても、食養生をしていても、体を動かさない、殆ど一日中座りっぱなしの生活をしていては、病気の治癒は望めません。
ここ20年の研究で、運動、つまり筋肉を動かす事による病の治癒のメカニズムが解明されています。その秘密は、運動により筋肉を動かすことにより分泌される“マイオカイン“という物質です。マイオはギリシャ語で筋肉、カインは分泌物を表し、現在50種類以上のマイオカインが発見されています。
 運動により筋肉が伸縮すると、大量のマイオカインが分泌され、メタボリックシンドロームが招く様々な病気の改善に有効な働きをする事がわかっています。
 マイオカインには、骨の形成、筋肉の増強促進、抗炎症作用、免疫力の増強、脂肪の分解、血糖値改善、高血糖時の食欲抑制などの働きがあり、代表的なマイオカインとして
1、IL-6(インターロイキン6)肥満や糖尿病の予防
2、FGF-21(線維芽細胞増殖因子21)脂肪肝の改善
3、SPARC(スパーク)大腸がんの予防
4、Irisin(アイリシン)肥満、糖尿病の予防
5、BDNF(脳由来神経栄養因子)脳の神経細胞の生育
などがあります。
 こうしてみると、人は筋肉を動かすことにより健康を保っているとも言えます。
 様々な病気の原因が加齢によるものとされてきましたが、実は加齢による筋肉の衰えがあらゆる病を生むことになります。筋肉は使わなければ簡単に衰えてしまいますので、毎日意識して筋肉を動かして行きましょう。
 無理なく習慣化できる運動として
1、食事前に15分程度のウォーキング+その後にタンパク質を20グラム程度摂ることで、脂肪燃焼効果と、筋肉増強効果がある
2、座り仕事は1時間ごとに1分間の筋トレを1種目やる
3、ちょっと食べ過ぎと感じたら15分~30分程の散歩や、掃除作業をする
4、雨の日はラジオ体操や8の字体操(音楽を聴きながら両手で上に大きく8の字を描く)
5、入浴後~就寝前に体をストレッチ
 体を動かすことは治癒物質を放出させ、病気の治療になります!
 筋肉に負荷をかけている時、あ、今効いている!痛みが取れる物質、免疫力が上がる物質がどんどん出ている!と思う事が肝心です。

(薬剤師・国際中医師・国際薬膳師 高田理恵)2023-09

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