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夏を彩る浴衣

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10-06-4暦の上では今の時節を晩夏といって夏の末の意ですが本格的な夏の訪れは実際にはこれからです。
盛夏となると風物詩である夏祭りや花火大会が各地で盛んに行われ、最近は色とりどりの浴衣に身を包んだ若い女性の姿が多く見られるようになりました。また女性のみならず渋い取り合わせの浴衣を纏った若い男性も増えているようです。
実は浴衣が外出着となったのは明治以降とまだ新しい文化で、浴衣の元を辿ると、古くまだ風呂が蒸し風呂だった時代に着たまま風呂に入った「湯帷子-ゆかたびら-」(帷子-かたびら-とは麻素材の単衣の衣をさします)に行き着きます。
時代が変わり湯船に浸かる風呂が出来てからは帷子を湯上りの汗取りとして着るようになり、浴衣の字が当てられるようになりました。
次第に単に汗取り・水切りであったものから、湯上りのくつろぎ着へと変化して庶民の間に定着し、江戸時代に銭湯が出来て以降は、風呂に通う際に外へも着て出るようになりました。こうして気軽な外出着の要素が強まり、現在の浴衣の原型ともいえる木綿に染めを施した浴衣が普及していったのです。
和装の文化が見直されつつある昨今、若い世代がまずは手軽な浴衣に興味を持って取り入れるのは大変に好ましい事と思います。
現在は染色技術の進化によって着物と見紛うような華やかな浴衣も多く、時代の変化と共に着方も人それぞれですが、あくまで着物とは一線を画した普段着であることを知っておいて頂きたいと思います。先述の経緯のように、浴衣は決して着物が簡略化した物ではなく、別の用途から独自に発展した物であることを考えればお解り頂けるのではないでしょうか。
近年更に発展した外出着としての浴衣は一過性のブームでは無く定着しつつある感があり、夕闇に映える華やかな姿を今年も沢山見ることが出来るでしょう。
(コラムニスト 現庵/絵:吉田たつちか)2006-07

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